【比較!!】S&P500vs全米 どちらがお金増やせる?(米国株式インデックス) 米国株式 Twitter Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2022.02.25 資産形成と言えば、全世界株式か米国株式が鉄板です。特に米国株式はこの十数年の株価の成長振りから今後も大きなリターンが期待されています。とは言え一口に米国株式と言っても、「S&P500」そして「全米」と、投資エリアは主にこの二つに分けられます。今回の記事では米国株式に焦点を当てまして、米国株式の中でもS&P500に投資すべきなのか、あるいは全米に投資すべきなのかについて解説していきます。 目次 米国株式が人気なのは何故?「S&P500」と「全米」の違いお金を増やせる商品を具体的に「S&P500」vs「全米」 まとめ 米国株式が人気なのは何故? では最初に、そもそも米国株式にどれだけの人気が集まっているか、そして、それは何故なのかを解説していきます。こちらのグラフはS&P500を代表して日本の投資信託「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と、全世界株式を代表して「eMAXIS Slim全世界株式」(オール・カントリーと除く日本の合計値)それぞれの純資産総額の推移を表すグラフです。どのエリアが発展しても恩恵を受けられる全世界株式よりも、米国株式に資金が集まっていることが分かります。どうして皆、こんなにも米国株式を信用して、資金を投入しているのでしょうか?「ここ十数年、右肩上がりだから」ですとか、「皆、そうしているから」という人もいると思いますが、この先も上がり続けるであろうと考えられる理由として一番大きいのは「人口の増加」だと考えています。 こちらは、先進国各国の人口の推移、ならびに今後の予想を表すグラフで、赤い線がアメリカです。アメリカは移民の受け入れが多く見込まれることが要因で、2100年頃までは増加の一途を辿る見通しです。一方、アメリカ以外の先進国は軒並み、人口は伸び悩みます。日本に至っては2010年頃を頂点に人口は減少の一途を辿っています。 ちなみにこちらは世界人口の推移です。全世界株式に人気が集まっている理由もやはり人口の増加が見込まれることが一番大きいかと思いますが、先進国のうち一つの国単体で人口が増えていて、投資しやすい環境にあるのはアメリカのみとなっています。 人口が増えれば色んなモノの需要が増えます。食事、家、服、趣味や娯楽など、色んなモノの需要量が増えます。需要が増えれば使われるお金が増えるので、企業が受け取るお金、つまり売上も増えます。アメリカの企業の売り上げが増えれば、アメリカの企業の「価値」の総額は増え続けます。もちろん中には売上や価値が下がってしまう企業も出てきますが、アメリカ全体で見れば企業の「価値」の総額、つまり時価総額は増え続けます。米国株式の価格は上がり続けるということです。他にもアメリカは、ITの覇権を握っていることも今後の株価成長を予想する根拠になると思いますが、やはり一番大きいのは人口だと考えられます。 「S&P500」と「全米」の違い アメリカに投資すると資産を増やせそうだと分かったところで、次なる課題は、アメリカのドコに投資するかです。米国株というと、投資先は主に「S&P500」や「全米」になります。そもそもS&P500や全米というのは何者なのかと言いますと、まずS&P500というのは株価指数の一つであって、これ自体は商品ではありません。なので「S&P500を買いたい」と言っても買えるものではありませんので、私たちは「S&P500に連動する商品を買う」ことになります。S&P500はアメリカの大型株から中型株の500銘柄を対象としておりまして、これでアメリカの時価総額の約80%をカバーしています。一方の全米は、ベンチマークが「CRSP US Total Market Index」という株価指数になりまして、アメリカの大型株から小型株の約3,500銘柄を対象としていまして、時価総額のほぼ100%をカバーします。「全米」という株価指数があるわけではなくて、アメリカの全体に投資することができますので「全米」と呼ばれることが多くなっています。なのでS&P500と全米の違いは、小型株を含むかどうかという点になります。 ではこの小型株を含まないS&P500がいいのか、あるいは小型株を含む全米がいいのかを考える上で、日本の投資信託「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(通称:楽天VTI)の二つで比較をしてみますと、本当に僅かながらS&P500が上を行っています。ただし日本の投資信託ではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が設定された2018年7月以降のデータしか見れませんので、過去10年のリターンを米国ETFで見ていきましょう。 過去10年のリターンを米国ETFで見ていきますと、S&P500の「VOO」は366%。全米の「VTI」は352%。グラフを見ると、緑色の線のS&P500の方が青い線の全米よりも若干高い位置にあるのが分かるかと思います。 これは、S&P500は上位10銘柄が占める割合が30.4%となっている一方で、全米は小型株を含むことで上位10銘柄が占める割合が25.2%に留まっていることが要因です。 なぜ上位銘柄が占める割合が全体のパフォーマンスに影響するかと言いますと、ここ10数年の米国株を牽引としてきたのは、AppleやMicrosoft、Amazon、Facebook、Googleなど、いわゆる「GAFAM」を中心とする大型株です。このグラフはS&P500のうちGAFAMを切り出した「S&P5」とそれ以外の「S&P495」を比較したものですが、米国株の価格をここまで押し上げてきたのは結局、GAFAMのような大型株であって、中型株や小型株はやや右肩上がりというレベルに留まっていまして、その成長率はTOPIXと同等です。なので、ここ十数年においては小型株を含む全米よりも、小型株を含まないS&P500の方が大きなリターンを出せていたことになります。 ただ勿論、S&P500と全米、どちらが良いパフォーマンスを見せているかというのは、どの期間を切り取って見るか次第で異なってきます。過去10年のパフォーマンスを一年単位で比較するにあたって、ここでもそれぞれ米国ETFで見ていきますが、小型株については「Russell2000」という指数に連動するETF「VTWO」を用います。ここで何より特筆すべき点は、S&P500と全米は、いずれの年においても大差は無いということです。いずれの年においても両者の差は数パーセント以内に収まっていて、誤差と言える範囲です。一方で小型株については、S&P500や全米とは大きく差がつく年もあるという点には注目です。例えば2014年はS&P500や全米のリターンは十数%であった一方で小型株のリターンは僅か5%だったり、逆に2016年はS&P500や全米が十数%であった一方で、小型株は20%以上のリターンを見せたりということもあります。正直、小型株が相対的に良いときもあれば良くない時もありますので、小型株を含まないS&P500が良い時もあれば、小型株を含む全米が良いときもあります。とは言っても、誤差範囲ですので、S&P500か全米どちらを選ぶかというのは、はっきり言って好み次第になってくると考えています。 お金を増やせる商品を具体的に 投資先を選ぶ上では手数料も重要になってきますが、手数料は株価指数というよりは商品毎に異なってきますので、S&P500か全米のどちらに手数料が安い商品が設定されているかという点を見ていく必要があります。ここではS&P500と全米、それぞれ投資信託で手数料の安い商品を挙げていまして、手数料の推移を記載しています。S&P500の方はeMAXIS SlimとSBI・Vが凌ぎを削っていて、手数料が安く抑えられてきましたので、手数料の点ではS&P500が優勢でした。全米は日本の投資信託では楽天VTIの独壇場であったため、手数料はS&P500に比べると割高になっていました。しかしそこに2021年の6月、新たにSBI・VTIという新たな商品が加わることによって、全米の方も安い信託報酬で運用できることになりました。厳密には1年間たってみないと隠れコストが分からないためハッキリとは言えませんが、ただ、競争が生まれることで楽天VTIの手数料も今後下がるだろうという期待がされていますし、S&P500も含めた米国株式として手数料は全体的に下がってくるものと考えられます。なので手数料においてもどちらもかなり安い水準となっていますので、S&P500か全米どちらを選ぶべきかというのは本当に好み次第になってくると考えられます。 もちろん投資信託に限らず、ETFでもS&P500や全米に投資することが可能です。ETFでは、S&P500は「VOO」・「IVV」や「SPY」。全米は「VTI」になります。保有額に対して「経費率」という手数料がかかってきますが、それぞれご覧の通りです。VOO・IVVやVTIもいずれも0.03%で運用できますので、本当に小型株にも投資したいのかどうかという好み次第で決めれば問題ありません。 ETFは売買手数料がかかるという点と、購入単位が金額指定ではなく口数指定になるといった点が投資信託との違いとしてありますが、一番大きいのは分配金があるという点になると思います。ETFは年に数回、分配金が手元に入ってくるため、再投資しようとしても、約20%の税金が引かれた後の金額を再投資することになるため、再投資の効率が落ちてしまいます。一方の投資信託では、分配金は都度都度手元に入ってくることは無くて、自動で再投資されますので、税金が引かれる前の金額を再投資することができますので、効率よく資産形成を図ることが可能です。なので、長期の資産形成を目的としているのであれば投資信託を買うのが良いですし、一方、不労所得を目的としているのであればETFを買うのが良いと考えられます。 「S&P500」vs「全米」 まとめ ということで投資信託かETFかというのは投資の目的によって選べばよいことになりますが、いずれにせよS&P500か全米かというのは、小型株にも投資したいのかどうかという好みによるものと思いますので、正直どちらを選んでも良いと考えています。 何より大事なことは、どういった違いがあるのかを把握した上で投資することです。 違いを把握した上で、納得して投資先を決めたのであれば、それが正解なのだと考えています。
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