【米国制覇】SBI・V・シリーズまる分かり解説✏️ 3商品の特徴は?(インデックス/投資信託) 米国株式 Twitter Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2021.12.18 2021.10.16 こんにちは、Massaです。2021年6月に「SBI・V・シリーズ」が誕生しました。 低コストで以前から人気のあった「SBIバンガード・S&P500インデックスファンド」は「SBI・V・S&P500インデックスファンド」に名前を変えまして、新たに「SBI・V・全米株式インデックスファンド」と「SBI・V・米国高配当株式インデックスファンド」の2つが設定されました。どれも大変な低コストで、米国株式に大変お得に投資できる商品です。今回の投稿では、この「SBI・V・シリーズ」3つの商品がそれぞれどのような商品なのか、そして、どんな投資目的に合う商品なのかが分かるように解説してまいります。 目次 「SBI・V・シリーズ」 全体像「SBI・V・シリーズ」はSBI証券の限定販売「SBI・V・シリーズ」 個別商品を徹底比較ベンチマーク投資対象乖離率純資産額投資形態パフォーマンス手数料分配金(再投資型 or 分配型)コンセプト「SBI・V・シリーズ」 まとめ 「SBI・V・シリーズ」 全体像 個別の商品の話に入る前に、まずはシリーズ全体についてお話します。SBIアセットマネジメント社が展開するSBI・V・シリーズはいずれも、世界最大の運用会社「バンガード社」が展開するETFを通じて、米国株式市場に投資をするものです。なのでSBI・V・シリーズの「V」は、バンガード社の「V」から来ています。バンガード社は大きな規模を活かして大変安い手数料でETFを運営していますので、そこに投資をするSBI・V・シリーズもまた大変な低コストで私たちの資産形成に貢献してくれています。 「SBI・V・シリーズ」はSBI証券の限定販売 そしてSBI・V・シリーズはSBI証券限定での販売となっておりまして、楽天証券やその他の証券会社では購入することができません。SBI証券はSBI・V・シリーズの発売に合わせてクレジットカード決済を導入したり、保有額に応じてもらえる投信マイレージサービスのポイント還元率を上げたりと、一気に他の証券会社に差をつけにかかってきた形です。 「SBI・V・シリーズ」 個別商品を徹底比較 では、各商品について見ていきましょう。ちなみに新しい2つの商品には早くも愛称がつけられていまして、全米は「SBI・VTI」、高配当は「SBI・VYM」と呼ばれていますので、ここからもそのように呼んでいきます。設定日は、SBI・VTIとSBI・VYMは21年の6月。SBI・V・S&P500が19年の9月となっておりまして、S&P500に投資できるライバル商品と比べると比較的新しい商品となっています。というよりも、少し前まではS&P500に投資できる商品というのは日本にはあまりなかったので、以前は米国ETFを使って投資するなど、少しだけ敷居の高いことをする必要がありました。日本の投資信託でS&P500に手軽に投資できるようになったのは、実はここ4・5年だということからすると、今はかなり投資がしやすい環境が整っているので、投資をしない手はないなと改めて感じます。 ベンチマーク この流れでベンチマークですが、SBI・V・S&P500はもちろん「S&P500」。SBI・VTIは「CRSP US Total Market Index」。SBI・VYMは「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」。「ベンチマークってナニ?」という方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に解説します。 これらは3つの商品は名前の通り、どれも「インデックスファンド」です。投資信託には「インデックスファンド」と「アクティブファンド」がありまして、インデックスファンドというのは日経平均やTOPIX、NYダウやS&P500といったような何らかの株価指数に連動するように運用される投資信託です。連動する株価指数をベンチマークと呼びます。インデックスファンドは要するに、市場平均の成績を目指すものです。一方アクティブファンドは、市場平均よりも高い運用成績を目指すものです。ファンドマネージャーというプロが多くの手間をかけて運用するので、手数料が高くなります。インデックスファンドが低コストなので、コストの差以上に良い成績を上げないといけないため、結局8割方のアクティブファンドはインデックスファンドのパフォーマンスに負けてしまっていることがデータでも示されているので、将来の資産形成を手堅くやっていくのであれば、私はベンチマークに連動した運用を目指す「インデックスファンド」の方をオススメしています。 投資対象 インデックスファンドは「どの株価指数がベンチマークになっているのか」によって、投資対象が決まってきます。SBI・V・S&P500は米国の大型株・約500銘柄に投資をするものです。500銘柄といってもアメリカの時価総額の約80%をカバーします。SBI・VTIはアメリカの大型株から小型株・約3,500銘柄に投資するもので、名前からも分かるようにアメリカの時価総額のほぼ100%をカバーしています。SBI・VYMはアメリカの高配当企業・約400銘柄を投資対象としています。400銘柄というのがどうなのかと言いますと、高配当株式というと他では200銘柄だったり、100銘柄以下というのが多くなっていますので、400銘柄というのは割と多いので、高い配当を狙うことができながらも分散が利いている商品だと言えます。 乖離率 乖離率は、ベンチマークにしっかりと連動した運用がされているかを表すものです。毎月発行される「月次レポート」で確認してみましょう。 SBI・V・S&P500は0.0%台ということで、しっかりとベンチマークに連動した運用がされていますので、手堅いインデックス投資ができるものと期待できます。SBI・VTIは0.1%台、SBI・VYMは0.2%台ということですが、まだ設定日から日が浅いので、今後どうなっていくのか見守りたいところです。 純資産額 純資産額は多ければ多いほど、ベンチマークにしっかりと連動した運用がされますし、手数料も下がりやすくなります。 この中では歴史が一番長いSBI・V・S&P500が最も大きい3,200億円と破竹の勢いで純資産額を伸ばしています。新しい2つの商品は、SBI・VTIはわずか3か月で102億円にまで伸ばしていますが、SBI・VYMは47億円と、少し苦戦しているように見えます。とは言え、純資産額は30億円以上あれば、資金が投資家に強制的に還されてしまう「繰上償還」が起こる可能性は極めて低いと言われていますので、特段問題はないと言えます。 投資形態 投資形態を見ていきましょう。いずれも「ファンド・オブ・ファンズ方式」となっています。これというのは、投資信託やETFを通じて株式市場に投資する形態のことを言います。 SBI・V・シリーズはいずれもバンガード社が展開する米国ETFを通じて、米国株式市場に投資をするものです。SBI・V・S&P500は、「バンガード・S&P500・ETF」(VOO)を通じてS&P500に投資するものです。SBI・VTIは「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)を通じて全米株式市場に投資。SBI・VYMは「バンガード・ハイディビデンド・イールドETF」(VYM)を通じて米国高配当株式市場に投資するものです。ETFにはティッカーと呼ばれるアルファベットの組合せで呼ばれることが多くなっていまして、今申し上げたように、それぞれ「VOO」「VTI」「VYM」と呼ばれています。SBI・V・全米株式がSBI・VTIと呼ばれたり、SBI・V・米国高配当株式がSBI・VYMと呼ばれるのは、投資対象をしているETFから呼び名が来ています。これを見ると、「じゃあ米国ETFを直接買えば良くないか?」と思うかもしれませんが、必ずしもそうはいかない事情があります。 ETFは投資信託のような金額指定ではなく、口数単位で購入する必要がありますし、その一口あたりの価格も日本円で数万円するため、投資するのに少し敷居が高くなっています。 SBI・V・シリーズのような投資信託であれば金額指定で購入できて、しかも100円から投資できます。なのでSBI・V・シリーズというのは、「バンガード社のETFにお手軽に投資できるようにしてくれた投資信託」、という風にご理解いただいて大丈夫です。 パフォーマンス 続いてリターンやボラティリティなどのパフォーマンスを見てみましょう。SBI・VTIやSBI・VYMは設定日からまだ間もないためデータが無いので、米国ETFでもって比較をしていきます。 こちら、過去10年のデータになりまして、「もし10年前に10万ドルを投資していたら、今ではいくらに増えていたか」を表しています。VOOやVTIは48万ドル、VYMでは36万ドルに増えていたことを表しています。このリターンは年率換算では、VOOは17.0%、VTIも17.0%、VYMは13.7%となっています。ボラティリティは、VOO:16.7%、VTI:16.8%、VYM:15.8%と、VYMが一番低くて安定しているように見えます ただし、リターンをボラティリティで割って投資効率を出してみますと、表の通りです。個人的には「0.8あればマズマズ、1.0あれば優秀」だと考えていますので、VYM(0.87)もなかなか高いと見ていいと思いますが、VOO(1.02)やVTI(1.01)がとても高い投資効率を見せていると思います。 手数料 続いて手数料を見てみましょう。インデックスファンドでは手数料が命です。逆に言うと、手数料以外はほとんど差が付く要素がありませんので、インデックスファンドでは、ベンチマークが同じ商品同士であれば、「手数料が安い商品=優良商品」だと思ってもらって問題ありません。 いずれも購入時手数料や、解約時にかかる信託財産留保額は無料となっています。そして手数料というと信託報酬ばかりに目が行ってしまいがちですが、隠れコストも含めた「実質コスト」を見る必要があります。そうしますと信託報酬は、SBI・V・S&P500が0.094%、SBI・VTIも0.094%、SBI・VYMが0.124%。隠れコストはSBI・V・S&P500が0.018%。実は隠れコストというのは1年間経ってみて初めて分かるものであるため、SBI・VTIとSBI・VYMについてはまだ分かりません。S&P500は、隠れコストを含めた実質コストは0.112%となっています。 このSBI・V・シリーズの手数料がどうなのかということで、ライバル商品との比較をしていきましょう。まずS&P500については実質コストでの比較で、「eMAXIS Slim米国株式S&P500」は0.124%。eMAXIS Slimシリーズは業界最低水準の低コストを宣言しているファンドですので、これを更に下回るとなると、SBI・V・S&P500は超超低コストだと言えます。SBI・VTIとSBI・VYMについてはまだ隠れコストが分からないので、信託報酬での比較となります。SBI・VTIのライバル商品「楽天VTI」の信託報酬は0.162%、SBI・VYMのライバル商品「楽天VYM」は0.192%。このように、楽天バンガードシリーズをしっかり下回っていて、いずれもかなりの低コストです。もちろん、1年が経過して隠れコストが出てみないと確実なことは言えませんが、今分かっている範囲では、かなりの低コストだと言えるでしょう。 分配金(再投資型 or 分配型) 分配金は、個別株で言うところの配当にあたるものです。商品毎に少し違いがありまして、SBI・V・S&P500とSBI・VTIは再投資型の一択ですが、SBI・VYMは再投資型もしくは分配型か選択することができます。 どういうことなのか少し詳しく見ていきましょう。ETFや分配型の投資信託では、定期的に私たち投資家に分配金が支払われます。一見すごくイイように見えますが、分配金は私たち投資家の手元に入ってくる度に20.315%の税金が取られます。なので入ってきた分配金を再投資する場合は、税金が引かれた後の金額を再投資することになるため効率が悪いため、資産形成には向いていません。一方、再投資型の投資信託では分配金は支払われずに、自動的に再投資されますので、税金が引かれることなく再投資されて元本に組み込まれるため、再投資型の方が効率よく資産形成をすることが可能です。なので、投資の目的が資産形成なのであれば「SBI・V・S&P500」や「SBI・VTI」、あるいは「SBI・VYMの再投資型」が目的に合った投資ができます。一方、投資の目的が不労所得なのであれば、「SBI・VYMの分配型」が目的に合った投資ができることになります。 ちなみに、SBI・VYMでは「金額買付」か「口数買付」であれば、分配金を受け取るのか、再投資するのかを選択することができます。「積立買付」であればその時には「再投資」しか選択できませんが、購入後に「受取」に変更することは可能です。 コンセプト さてここまで、各項目について確認してきましたが、リターンや手数料などについてはどれも申し分ないと思います。なので、どれに投資をすべきなのかは、コンセプトにそって選んでいくべきだと思います。「SBI・V・S&P500」は米国の大型株で安定しつつも成長する企業に投資すること。「SBI・VTI」は米国の大型株から小型株までも含めて幅広く分散投資すること。といっても、この2つは先程も見ていただいたように、VOOとVTIはほとんど同じ値動きをしていますので、結果的には大きな違いは出ないと思われます。そして「SBI・VYM」は、分配型で不労所得を得ること。あるいは再投資する場合であれば、”高い配当を出す成熟企業に投資“すること。各商品のコンセプトは、このようになると思います。 “高い配当を出す成熟企業“とはどういう事かというと、成熟した企業ほど、配当を多く出す傾向があります。というのは、成熟した企業は更なる成長をすることは容易ではないため、高い配当を出すことで株主に報いようとします。一方、新興企業は配当は控え目です。というのは、新興企業は高い配当を出すことよりも、自社の成長のために資金を投じて、成長することで株主に報いようとします。VYMは高配当株式ですので、成熟企業の集まりです。成熟して安定した企業に投資したいという場合には、SBI・VYMに投資するのが目的に合っていると言えます。逆に、VOOやVTIには成長を続ける新興企業も多く含まれているため値上がりに期待できますので、将来に向けて資産形成をしたいという場合には、SBI・V・S&P500やSBI・VTIを購入するのが目的に合っていると言えます。 「SBI・V・シリーズ」 まとめ ここまで純資産額やリターン、手数料などを一通り見てきましたが、数字的にはどれも全く問題ないと思います。となると、投資する商品の決め手になるのは、やっぱり「コンセプト」が自分の投資目的に合っているかどうかになるのだと思います。ご自身の目的にあった投資先を見つけていくにあたって、参考にしていただければと思います。
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