【全世界株式/SBI・VT誕生!!】楽天VT・雪だるま・オルカンからの乗換えは必要か?

2022年1月、SBI・Vシリーズから「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」が登場しました。

SBI・Vシリーズは2021年6月に、米国株式に低コストで投資できる商品ラインアップで始まりましたが、この度、SBI・Vシリーズとしては初めて、全世界株式が加わりました。

今回の投稿では、今回新たに登場するSBI・V・全世界株式インデックス・ファンドがどんな商品なのか、そして、買うべき人はどういう人なのか、ライバル商品との比較を交えて解説していきたいと思います。

SBI・Vシリーズとは?

まずSBI・Vシリーズの解説です。

SBI・Vシリーズとは、2021年6月、従来より販売されていた「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」に名称が変更となったのと同時に、新たに「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」、そして「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」が加わって、低コストで米国株式に投資できるシリーズとして始まりました。

SBI・Vシリーズとは?

SBI・Vシリーズの「V」というのはアメリカの運用会社「バンガード社」の「V」から来ていまして、バンガード社が展開する米国ETFを通じて株式市場に投資する形態を取っていることから、SBI・Vシリーズという名称が付けられています。

このバンガード社は、その大きな規模を武器として、大変な低コストでETFを展開していますので、そこに投資をするSBI・Vシリーズもまた大変な低コストとなっています。

これまでSBI・Vシリーズは、3つの商品とも米国株式に投資するものでしたが、今回、SBI・Vシリーズとしては初めて全世界株式に投資する商品が加わったこととなります。

このSBI・Vシリーズは、いずれの商品もSBI証券限定での販売となっていまして、これは明らかに、SBI証券が楽天証券に勝負を仕掛けてきた形です。

SBI・VTは米国のETFを通じて全世界株式市場に投資

それではここから、この度登場する「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」について詳しく見ていきましょう。

この商品は、バンガード社が展開する米国ETF「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」、通称「VT」を通じて全世界の株式市場に投資するものです。なので、SBI・V・全世界株式インデックス・ファンドは、早くも「SBI・VT」の愛称が付けられています。

ちなみに米国ETFのVTは、アメリカ大元にあるVTということで、日本の投資家からは「本家VT」と呼ばれています。

もちろん私たち投資家は日本からでも本家VTに直接投資することもできるのですが、ETFは購入が一口単位となるため投資額が高額になってしまったり、分配金が入ってくるため、再投資するには手動で手続きする必要があったり、再投資できるのは税金が引かれた後の金額になってしまったりと、何かと不都合が出てしまうところ、SBI・VTのような日本の投資信託があるおかげで、少額からでも投資することが可能ですし、分配金は自動で再投資されますので、VTに手軽に、且つ効率的に投資できるようにしてくれる。それが投資信託であるSBI・VTの役割です。

ベンチマークはSBI・VTも本家VTもFTSE・グローバル・オール・キャップ・インデックス

楽天VTのベンチマークは「FTSE Global All Cap Index」。

全世界の大型株から小型株、約8,000銘柄を対象としていまして、これは世界の時価総額のほぼ100%に該当します。

SBI・VTはこのFTSE Global All Cap Indexに連動した運用成績を目指す投資信託になるのですが、投資対象としている本家VTがこのFTSE Global All Cap Indexをベンチマークとしているため、自ずとSBI・VTのベンチマークも決まってくる形です。

ライバル商品との比較

「楽天VT」との比較

SBI・VTと楽天VTの比較表

ご存知の方も多いと思いますが、全く同じ形態を取っている先発の商品として、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(通称:楽天VT)が存在しています。なのでまさにSBIが楽天に対してライバル商品を真正面からぶつけてきた形です。

楽天VTもまた、本家VTを通じて全世界の株式市場に投資をするものですので、ベンチマークは自ずとFTSE Global All Cap Indexとなります。

では何が違うのかというと、違いは主に2つありまして、一つは、購入できる証券会社の違いです。楽天VTはSBI証券や楽天証券、その他多くの証券会社で購入できる一方で、SBI・VTはやはりSBI証券限定での販売となっています。

そして、もう一つは信託報酬です。楽天VTの信託報酬は、本家VTの経費率を含めて0.212%と十分に安価なのですが、SBI・VTの信託報酬は本家VTの経費率を含めて0.1438%と、楽天VTの更に下を行きます。

隠れコストを含めた実質コスト
SBI雪だるま、オールカントリー

では、SBI・VTは信託報酬が安いと分かったところで、これからすぐにSBI・VTに切り替えるべきなのかといいますと、もう少し他の情報にも目を向けていく必要があると考えています。

一つは、信託報酬以外の手数料、つまり「隠れコスト」を含めた「実質コスト」。

もう一つは、全世界株式のライバル商品、中でも同じくSBIから出されている超低コストの商品「雪だるま」、そして、全世界株式では一番の人気を誇る「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」とは、しっかりと違いを押さえておくべきだと思います。

SBI・VTの隠れコストは一年たってみないと分からない

ということで、他の商品も含めた上で、手数料やその他の項目を見ていきましょう。

設定日は、既存の3つの商品については2017年もしくは2018年と、いずれも設定日から3年以上が経過しています。

そして先程から触れている手数料につきましては、SBI・VTの信託報酬は0.144%とかなり安くなっているわけですが、隠れコストにも目を向ける必要があるものの、隠れコストは1年経って初めて明らかになるものですので、現段階ではハッキリとはしませんし、そして初年度というのは隠れコストが嵩む傾向がありますので、1年間たってもハッキリしない可能性もあります。

そこで、ある程度参考にできそうだと思うのが、同じくSBIから出されている「SBI全世界株式インデックス・ファンド」、通称「雪だるま」です。

「SBI雪だるま」との比較

SBI雪だるまは三つのETFに分けて投資

「雪だるま」も同じく「FTSE Global All Cap Index」をベンチマークとする投資信託ですので、やはり全世界の大型株から小型株、約8,000銘柄に広く投資するものです。

その雪だるまの隠れコストが0.023%ですので、SBI・VTもおそらくこれに近いところになるのではと予想しています。

SBI・VTと雪だるまでは何が違うのかと言いますと、それは投資対象のETFです。

SBI・VTは先程から申し上げている通り、本家VTに投資する商品です。

一方、雪だるまの投資対象は3つのETFに分かれていまして、米国株の部分については「VTI」、米国以外の先進国株の部分については「SPDW」、新興国株の部分については「SPEM」というように、エリア毎に投資対象のETFが分かれていまして、これが、信託報酬が安く抑えられている理由となっています。

SBI雪だるまは三つのETFに分けて投資するためコストや安い

SBI・VTの投資対象である「本家VT」は経費率が0.08%となっていまして、これでもかなり安い経費率となっていますが、雪だるまの投資対象となっているVTI・SPDW・SPEMはいずれも破格の経費率となっていますので、雪だるまではそれぞれに分けて投資することで、雪だるまにかかるETFの経費率は計算上、0.0415%と極めて低くなっています。

SBI雪だるまはコストが安い

その結果雪だるまは、信託報酬が0.11%、実質コストが0.133%と超低コストの商品となっています。

それにもかかわらず、そこまで資金が集まっていないのが現状です。

SBI雪だるまには資金があまり集まっていない

雪だるまの純資産額は475億円に留まっています。楽天VTは1,510億円、eMAXIS Slimのオールカントリーに至っては3,967億円を集めているのに対して、雪だるまは見劣りしまっているのが現状です。

なのでおそらく、SBIとしてはシビレを切らして、本家VT一本に投資する商品を出してきた部分もあるものと考えられます。

SBI雪だるまはベンチマークとの乖離率が大きい

雪だるまが、安い手数料にもかかわらず、人気が出ない理由は、ベンチマークとの乖離だと考えられます。

雪だるまの運用成績は、ベンチマークとの乖離率で言うと、直近の1年間ではマイナス1.05%、直近3年間ではマイナス3.33%となっています。

せっかく手数料で0.0何%かを削れても、運用成績として1%もマイナスが出てしまっては意味がなくなってしまうなというのが正直なところです。

SBI雪だるまは三つのETFに分けて投資

確かに運用会社としてできるのは、VTI・SPDW・SPEMの比率を変えることでしか運用成績を動かすことができませんので、ベンチマークとの乖離が出てしまうのは避けられない部分はあると考えられます。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)との比較

オールカントリーの詳細

そして、オールカントリーの内容も確認しておきましょう。

オールカントリーはこの中では唯一、「MSCI All Country World Index」をベンチマークとしています。なので、全世界の大型株から中型株、約3,000銘柄を投資対象としていまして、世界の時価総額の約85%をカバーしています。

オールカントリーは他の3つのように米国ETFに投資する形態ではなくて、自ら各銘柄の株式を売買することで、ベンチマークへの連動を目指す形態です。ただ、どちらの形態が良い・悪いということは無いと考えていますので、小型株にも投資したいのかどうか、あるいは手数料が高いのか安いのかという観点で商品選びをすればよいと考えています。

ちなみに直近3年間のリターンは、オールカントリーは90.13%、楽天VTが88.21%、雪だるまは86.38%となっています。

ETFでのリターン比較

もっと長期間のリターンは、歴史の浅い日本の投資信託では見れないため、代わりに米国ETFで見てみます。

VTが設定された後の2009年1月から13年間のトータルリターンですが、「FTSE Global All Cap Index」に連動するVTは322%。「MSCI All Country World Index」に連動するACWIは318%。

グラフがほぼ重なっていることからも分かるように、どちらも大差はありません。

どちらのベンチマークが有利になるのかどうかは、どの期間を切り取ってみるかによって異なりますので、どのベンチマーク、どの商品が良いということもできません。

なので、どちらに投資するべきかというのは、小型株までも含めて投資したいのかどうかという点になると言えます。

SBI・VT まとめ

SBI・VTに投資すべき人はどんな人?

ここまでの内容を踏まえまして、今回新たに登場するSBI・VTに投資すべき人はどんな人なのかを纏めました。

・今、楽天VTを買っていて、もっと手数料を抑えたい人

・小型株も含めて投資したかったけど、楽天VTの手数料が少し高く見えてしまって、オール・カントリーなど他の商品を買っていた人

・今、雪だるまを買っていて、ベンチマークとの乖離が許せない人

このような人になるかと考えられます。

全世界株式のコストは下がっていくものと思われる

ただし注意していただきたい点は、SBI・VTの隠れコストは1年経ってみないと分からないということです。

また初年度は、隠れコストが嵩む傾向がありますので、もしかすると本当の手数料が分かるまで1年より多くかかる可能性もあります。

それから、楽天VTも今後、手数料を下げてくる可能性はあると考えています。

楽天VTはこれまで、本家VTに投資できる投資信託としては独壇場であったため、手数料は自由に設定できていたと思いますが、この度、本家VTに投資できるライバル商品がライバル会社から出されたとあっては、手数料を下げてくる可能性もあると見ています。

そうしたらオールカントリーも手数料を下げてくる可能性があります。

オールカントリーを展開する三菱UFJ国際投信は、業界最低水準のコストというものを全面的に押し出していますので、SBI・VTや楽天VTが手数料を下げれば、同じ全世界株式として黙ってはいないだろうと考えられます。。

なので各商品、それぞれの手数料が収まるところに収まるまでには、数年かかる可能性もありますし、全体的に手数料は下がってくると見ていますので、既存の商品で投資している人は、必ずしも今すぐにSBI・VTに乗換えをしなくてもよいと考えられます。

ここまで、2022年1月末に登場したSBI・VTについて解説をしてきました。

手数料や投資対象を鑑みた上で、ご自身の方針に合った商品選びをしていってもらえればと思います。

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