新興国株式オススメ活用法

こんにちは、Massaです。

今回は、新興国株式の上手な使い方についてお話したいと思います。

新興国株式というと、どうしても投資経験者向けで手を出しにくい、というイメージがあるかと思いますが、投資初心者の方にも上手に活用していただける方法がありますので、今回はそれを紹介していきたいと思います。

今回お届けする内容はこちらになります。

まず、新興国株式の概要や、投資経験者向けと言われる理由を解説していきます。

そして、新興国株式のメリットや出口戦略をお伝えしてまいります。

それでは早速、内容に入っていきましょう。

まず、新興国とはどの国が含まれるのかを見ていきましょう。

世界の国々は大きく、先進国と発展途上国に分けられますが、発展途上国の中でも特に高い成長性を秘めた国々が新興国と呼ばれます。

ただし、新興国の定義は曖昧で、各機関や研究者がそれぞれの基準でもって、どの国を新興国と位置付けるかを決めているのが現状です。

こちらに示しているMSCIやFTSEというのは、株価指数の算出や各種金融データを提供する企業であり、金融商品への投資をする上ではよく目にする名前となりますが、この両者でも新興国の分け方は異なります。

MSCIは韓国を新興国に分類している一方、FTSEは韓国は新興国には含めず、先進国に分類しています。

MSCIやFTSEはそれぞれ、新興国の株価指数を算出しているわけですが、それぞれ、各国がどういった比率で組み入れられているかを見てみますと、

いずれにおいても、約40%を中国が占めることが分かります。そして、主に台湾、インド、ブラジルと続いています。

繰り返しになりますが、韓国はMSCIでは新興国に組み込まれている一方、FTSEでは新興国に含まれません。

ここでは、それぞれの株価指数に具体的にどういった銘柄が含まれているかを見てみましょう。

両者とも台湾セミコンダクターがトップに位置しています。そして中国のアリババや、テンセントが続きます。

大きな違いは、韓国のサムスンが含まれているかどうかという点になります。

ここまで、新興国株式のザックリとした概要をお伝えしました。

ここからは、新興国株式が何故投資経験者向けと言われるのか、その理由を見ていきましょう。

なぜ新興国株式が「投資経験者向け」と言われるのか?

これは主に、3つの理由が挙げられます。

まず一つ目は、新興国の場合、経済成長に必ずしも株価の成長が連動するとは言えないという点です。

先進国や全世界で見れば、経済成長に伴って株価も成長するのが一般的ですが、新興国の場合はカントリーリスクがあるが故に、必ずしもそうとは言えず、先行きが読みにくいというのが実情です。

そして、為替リスク、ボラティリティの高さといった点も、投資経験者向けと言われる理由になっていると考えられます。

一つずつ、サクッと見ていきましょう。

全世界で見れば人口・経済・株価は比例するということを認識していただくため、こちら、世界人口の推移を示すグラフをご覧ください。

将来に渡り世界人口は右肩上がりで推移する予測となっていますが、この中でも、過去から現在までの箇所にご注目いただきたいと思います。

ここに、世界のGDPの推移を表すグラフを重ねていきますと、世界人口の増加とともに世界経済も成長してきたことが確認できます。

これを念頭に置いた上で、次のスライドをご覧ください。

こちらは、MSCI All Country World Index、つまり全世界の株価を表すチャートです。

過去10年ほどになりますが、株価も堅調に右肩上がりで成長してきていることが分かります。

このように、全世界で見れば、人口が増えれば経済も成長し、それに伴い株価も成長するということがお分かりいただけるかと思います。

一方、新興国ではどうでしょうか。

インドを始めとして人口が増加していることは広く認識されており、新興国の経済は目まぐるしい成長を遂げています。

こちらのグラフでは、比較のためにアメリカのGDPと合わせて見てみます。赤い線が新興国、青い線がアメリカです。

アメリカの経済も堅調に成長していることが分かりますが、新興国の経済はそれ以上に2002年以降、急成長を遂げていることが分かります。

しかし株価はどうかと言いますと、アメリカの株価は経済成長に伴って右肩上がりで成長している一方、新興国の株価はヨコヨコで推移しています。

新興国への投資においては、内戦・汚職・法改正といったカントリーリスクが考慮されるため、経済が成長しているからと言って必ずしも株価が伴うわけではない、ということを頭に入れておく必要があります。

続いて「新興国株が投資家向けと言われる理由」の二つ目。為替リスクに関するお話です。

ここではMSCI・FTSEいずれの新興国株価指数でも上位に組み込まれている4か国について見てみましょう。

これらは、過去15年、対日本円の為替を表すチャートになります。

いずれも通貨も、大きな上下を繰り返しており、倍半分に変動していることが見てとれます。

たとえ株価が現地通貨ベースで2倍成長したとしても、現地通貨の価値が対日本円で半分になってしまったのであれば、日本円ベースでみればリターンはありません。

もちろん、為替が有利な方向に動くこともあり得ますので、為替リスクがあることが一概にダメという事はできませんが、先進国の株式と比べると「先が読みにくく、手堅い投資がやりづらい」ということを認識しておく必要があると思います。

日本に生活拠点をおくのであれば、対日本円での為替は無視することはできません。

「新興国株が投資経験者向けと言われる理由」の3点目、新興国株はボラティリティが高いという点について見てみましょう。

こちらは、my INDEXさんからデータをお借りしていますが、「もし20年前に100万円を投資していたら、現在いくらになっていたか」をシミュレーションしたものです。

日本株や先進国株以外にも、債券などの資産とも比較することができます。

これによれば、新興国株が最も大きな変化を見せており、もし20年前に100万円を新興国株に投資していたら、今では600万円近くにまで増えていたというシミュレーション結果となっています。

これだけを見ますと、新興国株に投資するのが一番いいように見えてしまいますが、ボラティリティの高さには注意をする必要があります。

こちらは、100万円を投資した1年目から20年目までの資産額の推移を示したものです。

新興国株は結果としてプラス500%のリターンが出ているわけですが、一時は250%ほど一気に下落する局面もあったということは見逃してはいけません。

リーマンショックによる影響であったため、下落することは致し方ありませんが、他の金融資産と比較すると、下落幅がひと際目立ちます。

新興国株はその後も上下に大きな波を描きながら推移しています。こういった大きな動きが出やすいことを、「ボラティリティが高い」といったように表現します。

このボラティリティの高さこそが大きな利ザヤを狙えるため、短期売買の醍醐味となっています。

新興国株はこのように、短期売買に向いているということが、投資経験者向けと言われる理由です。

しかし、だからと言って初心者の方が手を出してはいけないということはありません。

たしかに短期売買をするのであれば、投資先の先行きを見て行う必要がありますが、長期で持つのであれば初心者の方にも十分トライできるものだと思います。

もちろん新興国株式1本に全力投球するのはオススメできませんが、分散投資の手段の一つとして新興国株をポートフォリオの一部に組み込むことは、有効な活用手段だと思います。

その点について、これから詳しく解説してまいります。

よってここからは、新興国株を活用することのメリットに関するお話となります。

新興国株式のメリット

一番のメリットは何といっても、高い経済成長による株価への期待です。

人口の増加に伴い経済成長が見込まれる新興国では、今でこそ株価が伴っていませんが、カントリーリスクが安定に向かえば株価の成長も伴ってくると考えられますので、今のうちから新興国株を積み立てておけば、将来大きなキャピタルゲインが得られる可能性が考えられます。

そして二つ目、これは意外に思われるかもしれませんが、新興国株式はリスク分散に使えるということです。

米国株式はここ10年程、GAFAMなどのIT銘柄を中心に著しい成長を遂げており、今後もこの勢いが継続するとの期待から、多くの人気が集まっています。

こちらのグラフは日本で大変人気の高い投資信託「eMAXIS Slim米国株式S&P500」です。

黄色の面グラフにご注目いただきたいと思いますが、2018年7月の設定日以来、目まぐるしい勢いで純資産額を増やしています。

つまり投資家から多くのお金が集まっているということを意味しますので、これ程に米国株は人気が高いということです。

しかし、米国株にも以前、厳しい時期があったことを忘れてはならず、新興国株が米国株をoutperformしていた時期があったことは事実です。

こちらは、過去15年程の米国株と新興国株の、リターン込みのパフォーマンスを示したものです。

青い線が米国の株価指数「S&P500」に連動するETF、緑の線は新興国の株価指数「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」に連動するETFです。

2016年あたりからは米国株が新興国株をoutperformしていますが、それ以前は新興国株が米国株を上回わるパフォーマンスを見せていました。

こちらはアメリカの株価指数「S&P500」の1970年以降のチャートですが、

このうち1975年からの5年間、そして98年からの10年間、ボックス圏を抜け出せない暗黒時代が米国株にも有ったということは忘れてはいけません。

特にこの期間は「失われた10年」とまで言われるに至っています。

米国株式にこのような厳しい時期が再度やって来ないとも限らず、新興国株のパフォーマンスが上回る時期も出てくる可能性があることを考慮しますと、ポートフォリオの一部に新興国株を組み入れておくことは、有効なリスク分散の手段の一つと言えると思います。

ポートフォリオとして、どういう組み合わせで購入していくのが適切なのか、考えてみましょう。

まず、投資家の中では、大きく2つの派閥に分かれると思います。

一方は米国派、もう一方は全世界派です。

米国株式は2009年以降目まぐるしい成長を遂げているため、今後もその成長が続くだろうと考える人たちから絶大な人気を誇っています。

一方全世界株式は、世界のどの国が成長してもそのメリットを享受できるという点を理由に選んでいる人が多いかと思います。

新興国株式の持ち方としては、それ一点に集中投資するのではなく、米国株式あるいは全世界株式をメインとして保有した上で、サブとして新興国株式を購入していくのが宜しいかと思います。

特に米国株式をメインに考えている人こそ、新興国株式をサブとして購入する効果は大きいと思います。

というのも、全世界株式は世界中の株式で構成されており、その中には既に新興国株も10%強の割合で組み込まれているからです。

新興国株が成長を遂げれば、それに伴ってファンドの方で新興国株の組み入れ比率を上げる調整も行ってくれます。

よって、全世界株式メインの方は全世界株式1本でも問題ないと思います。

あるいは、全世界株式の中身は半分以上を米国株が占めるため、リスク分散としてもう少し新興国の割合を上げたいという場合には、別途新興国株を買い増しするのも、良い手段だと思います。

よって、全世界株式メインの方にとっては、新興国株はオプションという位置づけになるかと思います。

一方、米国株式はあくまで米国株のみで構成されており、新興国株を一切含まないため、今後新興国株が米国株をoutperformする時期が再度やって来る可能性もあることを考慮しますと、

米国株式メインに考えている方にとっては特に、新興国株にも一部投資しておくというのはリスク分散の効果はより大きくなると思います。

繰り返しになりますが、米国株式あるいは全世界株式をメインに、新興国株式をサブとして持つことで、分散投資を行うができます。

特に、米国株式メインの場合は、その効果は大きくなります。

それでは最後に、出口戦略についてお話してまいります。

新興国株式の出口戦略

先程も見ていただいたように、新興国株にはボラティリティの高さがあることは認識しておく必要があります。

積立NISAの制度を使って新興国株に投資していた場合、非課税期間終了時に暴落しているタイミングに当たったらどうすればよいのか、事前に出口戦略を持っておく必要があると思います。

それにあたってまず、積立NISAの非課税制度についておさらいをしておきましょう。

積立NISAは20年間、得られたリターンに対して非課税となる制度です。

この「20年間非課税」というのが少し分かりにくくなっていますので、詳しく見ていきましょう。

積立NISAでは投資信託を購入していくことになりますが、例えば初年度に購入した投資信託は、売却するまで自分の積立NISA口座で保有し続けることとなり、保有している間、キャピタルゲインやインカムゲインといったリターンを生み出していくことになりますが、20年間は得られたリターンに対しては非課税となります。

そして2年目、3年目、それ以降も同様に、購入したタイミング以降、保有している投資信託がリターンを生み出していくことになりますが、20年間はそのリターンに対して非課税となります。

積立NISAの制度というのは、2018年から2042年までの間に購入した投資信託が生み出したリターンに対して非課税となる、というものです。

よって、2040年に購入した投資信託が生み出すリターンに対しては、2059年までは非課税となります。

ここでは、非課税期間の終了は一度にはやって来ないということを押さえていただければと思います。

購入から20年が経過して非課税期間が終了すると、保有してきた投資信託は積立NISA口座から課税口座に自動的に移動します。

よって、積立NISA口座を開設するときには必ず、課税口座も同時に開設することになります。

ここでぜひ、ご認識いただきたい事は、非課税期間が終了しても、必ずしも売却しなくてもよいという事です。

売却しない場合は、課税口座で引き続き運用し、リターンを受け続けることができます。

課税口座で保有し続ける場合、当然ながらリターンに対しては税金がかかってくることは承知しておく必要はありますが、値上がりして売却すべきタイミングまで待つことが可能です。

よって、出口戦略の一つは、非課税期間終了時点で価格が高水準にあれば売却し、価格が下落している局面であれば、上昇するまで課税口座で保有し続けるという対応が宜しいかと思います。

ただし、この戦略は比較的若い方で、非課税期間終了後も資金をすぐに引き出さなくてもよい人には向いていると思います。

一方、非課税期間終了後すぐに資金を引き出したい方にとってはこの方法よりも寧ろ、一定のペースで売る、という戦略が合っていると思います。

これは、一定の額を引き出すのではなく、その時点でもっている資産から”一定の割合で”引き出していくという方法です。

そうすれば、暴落しているときは引き出す額も減りますし、一方高水準にあるときには沢山引き出すこととなり、トータルで見れば平準化して引き出すことが可能となります。

以上2点の戦略は、ボラティリティの高い新興国株式に特に有効です。

もちろん新興国株式に限らず、積立NISAで購入する全ての投資信託に共通して言える戦略になりますので、参考にしていただければと思います。

新興国株式 まとめ

それでは、今回のまとめに入ります。

新興国は経済の成長に株価の成長が伴わないケースや為替リスクがあるため、先行きが読みにくいのは事実です。

新興国株式が投資経験者向けと言われる理由は、ボラティリティが高く、短期売買に効果的だからと言えます。

ただし初心者の方でも、米国株が低迷した場合に備えて一部、新興国株を持つ事は有効な分散投資になると思います。

出口戦略を持てば、新興国株式のボラティリティは十分吸収することが可能です。

新興国株式はどうしても投資経験者向けというイメージが強いかもしれませんが、米国株や全世界株のサブとして保有することで分散投資の有効な手段とすることができますので、初心者の方も臆することなく新興国株式をご検討いただいては如何かと思います。

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